「なぁ、生クリームのデザート食べてないから、俺4割でいいよな。」

クリスマスディナーの最後の彼の言葉がこれだった。

彼が生クリームがダメなのはわかってたことだし、でもここのクリスマスディナーがとっても良さげだったから彼に「デザートが生クリームしかないから、代わりに別のケーキを用意しておくからここのディナーにしてもいい？」って確認したんだ。

クリスマスの1ヶ月半前に。

そもそも月に2回しか会えない、もとい会わない私たち。

だからこそクリスマスは特別だし、なんかよさげで私たちの財布に負担の少ないクリスマスディナーってすぐうまっちゃうから、早めに予約したかったんだ。

レストランには聞いたんだよ、彼が生クリームダメだから他のデザートにできませんか？って。

でも、クリスマスディナーは混み合う時期なんで変更はできないって言われちゃって。

だから、私はディナーの後一緒にお泊まりするから、その時に食べてもらおうと思って、彼の大好きなティラミスを用意してたんだ。しかも結構いいやつを。

彼と久々に会える、しかも初めてのクリスマス。

街中がキラキラしてるし、私も朝からウッキウキ。

いつもよりたっぷり時間をかけてお風呂に入り、入念にメイクもしたし、コンディションもばっちり。

彼と会うのも久々だし、本当に楽しみで。

澄んだ空気をかきわけて、駅のコンコースの彼を見つけると、幸せそのもので。

私が選んだディナーのお店もとっても素敵で、料理もとっても美味しい。

普段はビールしか飲まない私も、きどってワインなんか飲んでみたりして。

本当に楽しかったし美味しかったんだ。

でも彼が最後に言ったの。

「なぁ、俺生クリーム食べられないの知ってるやろ、何でデザート生クリームなん？」

知ってるよ、あなたの好みはなんでも。

生クリームが嫌いなんて知らない訳がないじゃない。

本当は好きなタイプは私みたいな感じじゃない事も知ってるんだよ。

だから、予約する時確認したやん、生クリームのデザートだけど、ちゃんと別のケーキ用意しとくって。

そんなに不機嫌にならないでよ。

「お前、2個食べろや」

わかってるよそんな事、今日はせっかくのクリスマスなんだから、そんな事くらいで不機嫌にならないでよ。

「なぁ、生クリームのデザート食べてないから、俺4割でいいよな。」

え？どういう意味？4割って何？

「え、お会計、俺が4割でお前が6割やろ、俺デザート食べてないから」

ちょっとまって、割り勘なのも？なのにまさかの私が6割？

そんな彼だけど、私の大好きな彼。

今度同棲するんだ。

ちょっと狭い1DKだけど。

絶対うまくいくんだ。

すごく楽しみなんだ！

そんな話を聞きながら呑んだシャンパーニュは、青い春の味がしました。

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